「値決めは経営」と言われるほど、経営において重要な位置を占める価格設定。資源価格や原材料価格の高騰を受け、
製品・サービス等のコストは上昇傾向にあります。また、賃上げ機運の高まりもあり、人件費の増加も見込まれます。
適正な利益を確保し、日頃、頑張ってくれている従業員に報いるためにも、適切な「値決め」がますます重要に
なっています。
次の3つのポイントを踏まえ、自社の値決めの方針についてあらためて考えてみましょう。
(1)コストと利益を踏まえて価格を見直す
(2)自社の「強み」を見つめ直す
(3)値上げ等の交渉ではその根拠となる具体的なデータを提示する
企業の賃上げを応援する税制として設けられた「賃上げ促進税制」。従業員に対する給与等の支給額
(雇用者給与等支給額)を前年度よりも一定割合増加させた場合に、賃上げ額の一部を法人税から控除できる制度です。
令和6年度税制改正により、適用期限が3年延長され、最大控除率もアップ。加えて中小企業については、
赤字であった、もしくは大きな黒字ではなかったために税額控除をしきれなかった場合に、最長5年間、未控除額を
繰り越せるようになりました。
同税制の適用を受ける前に、次のことを確認しておきましょう。
(1)ベースとなる前年度の雇用者給与等支給額を把握する
(2)直近の経営状況を踏まえ、①どの程度の賃上げが可能か②その際、何%の税額控除を受けられるか――
を確認する
(3)賃上げの原資となる利益(限界利益)を確保する方法を検討する
5月から6月にかけては、季節の変わり目とも相まって、メンタルヘルスの不調を訴える人が多くなるシーズンです。
1人ひとりの従業員に本来の力を発揮してもらうには、企業におけるメンタル面での健康を守る取り組み
(メンタルヘルスケア)が大切です。
メンタルヘルスケアとは、すべての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすることと、
その活動が円滑に実践される仕組みづくりのことをいいます。
メンタルヘルスケアの第一歩は、従業員自身にメンタル面のセルフケアに取り組んでもらうことです。
従業員がメンタルヘルスの変化に気づき、セルフケアに取り組むきっかけの1つとして「ストレスチェック」が
あります。積極的な活用を検討しましょう。
また、メンタルヘルスの異変を自覚した従業員をケアできるよう、①専門家を活用する②相談しやすい環境を整える
――など、社内の体制づくりも大切になります。
以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には
「山口雅文税理士事務所 事務所通信」を送らせていただきます。
令和6年度税制改正により、6月から納税者(合計所得金額1,805万円以下の給与所得者と個人事業主等)と、
その配偶者を含む扶養親族1人につき4万円(所得税3万円・住民税1万円)の定額減税が行われます。
所得税については、6月1日以後最初の給与等の源泉徴収される所得税から減税額を控除。控除しきれない場合は、
減税額に到達するまでそれ以後の給与等の支給時に順次控除する仕組みのため、給与計算の担当者は注意が必要です。
給与計算担当者は、従業員から提出された「扶養控除等申告書」「源泉徴収に係る申告書」を基に、
減税額の計算対象となる配偶者や扶養親族を正しく把握する必要があります。
これらの申告書から把握できない配偶者等については、年末調整で調整します。
令和2年から行われている中小企業の時間外労働(残業)の上限規制。
令和6年4月1日から建設業・自動車運転の業務・医師に対する猶予が終了し、
「残業」への社会の見方がより厳しくなると予想されます。
これを機に自社の残業の状況を再確認し、適切な労務管理に努めましょう。
そもそも労働時間は、①所定労働時間②法定内残業時間③法定外残業時間――の3種類に分けられます。
このうち③法定外残業時間は、原則として「月45時間、年360時間以内」に抑えなければなりません。
残業を減らすための取り組みとしては、次のようなものが挙げられます。
○残業の事前承認制の導入
○変形労働時間制の採用
○事業・製品・商品構成の見直し
○新たな技術の積極的な導入
相続によって取得した不動産(土地・建物)の登記(相続登記)がされないまま相続が繰り返され、
登記簿上の所有者がわからない「所有者不明土地」が全国で増加しています。
その発生予防の一助として、令和6年4月1日から、相続した不動産について不動産登記簿の名義を変更する
「相続登記」が義務化されます。
(1)相続人は、不動産を相続(遺言を含む)で取得したことを知った日から3年以内に、
法務局に登記の申請をしなければなりません。
(2)令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、未登記であれば、
令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
(3)「正当な理由」がないにもかかわらず、相続登記をしない場合には、10万円以下の過料が科される
可能性があります。
なお、相続登記の期限までに遺産分割をまとめることが困難なときは、
令和6年4月1日から新たにスタートする「相続人申告登記」という手続きを活用すると良いでしょう。
以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には
「山口雅文税理士事務所 事務所通信」を送らせていただきます。
3月は企業の決算が集中する月です。決算を迎える企業は、決算日までに次のような点を確認しておきましょう。
○請求を再確認する:売掛金の計上漏れがないか、納品書控・得意先元帳・売掛金台帳等の記録を確認する。
○滞留・不良債権への対応を検討する:滞留・不良債権化している売掛金等は、貸倒損失や貸倒引当金を計上できる
条件を満たしているかどうかチェックする。
○不良在庫は決算日までに処分する:セール等による値引販売や廃棄処理、買取業者への依頼等によって処分する
ことを検討する。
○固定資産を確認する:①実際に事業用として稼働しているか
②少額減価償却資産の特例が適用できるか
③その固定資産の修理は修繕費か ――を確認する。
○仮払金等を精算する:残高がある場合、精算して適切な勘定科目に振り替える。
手元により多くのキャッシュ(現金・預金)を残すことを重視する経営を「キャッシュ・フロー経営」といいます。
資金の入りを「多く・早く」、資金の出を「少なく・遅く」することがポイントです。
自社の仕入から販売、支払い、回収までのサイクルを次の指標で確認することが重要です。
○棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産÷純売上高×365
※原材料・商品を仕入れてから販売するまでの期間。
○売上債権回転期間(日)=売上債権÷純売上高×365
※製品・商品を販売してから代金を回収するまでの期間。
○買入債務(支払基準)回転期間(日)=買入債務÷仕入代金支払高×365
※原材料・商品を仕入れてから代金を支払うまでの期間。
○必要運転資金回転期間(日)=(棚卸資産回転期間+売上債権回転期間)-買入債務回転期間
※仕入代金を支払ってから販売した代金を回収するまでの期間。
「必要運転資金回転期間」は、資金調達が必要な期間です。
この期間を短くすることで資金の心配が減り、安心の経営につながります。
新たな従業員の雇用や、有期雇用の従業員との契約更新の際に義務付けられている「労働条件の明示」。
そのルールが、令和6年4月1日から変わります。令和6年4月1日以降、新たに書面で明示すべき事項は
次の通りです。
改正点の確認とともに、自社の労働条件およびその明示の方法を見直してみましょう。
(1)すべての従業員に対する明示事項:就業場所・業務の変更の範囲
(2)有期雇用の従業員に対する明示事項:
①有期労働契約の更新の上限
②無期転換申込機会
③無期転換後の労働条件
以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には
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