事務所通信 Web版

2026年2月号

税務:こんな収入はありませんか? 会社員(給与所得者)でも、申告モレにご用心

多くの会社員は年末調整があるため、原則として確定申告は必要ありません。しかし、最近は副業での収入、資産運用など、“確定申告が必要な収入”が発生することも。例えば、次のような収入はありませんか?

○満期保険金・解約返戻金の受取り

○株式の売却・配当等による収入

○家賃収入

○資産の売却による収入

○副業による収入

○フリマアプリ等による収入

○FXや暗号資産の取引による収入 など

 給与以外の収入は、気づかないうちに「申告モレ」の原因になりがちです。不安があれば、早めに当事務所にご相談ください。


会計:経理の「?」を「!」に 「棚卸資産」のきほん

企業が販売や製造のために保有する商品、製品、原材料や製造途中のものを「棚卸資産(在庫)」といいます。

 重要な決算業務の1つに、「棚卸し」があります。棚卸しは、売上に対応する売上原価を確定させるために必要な手続きです。仕入高は日々の会計処理によって帳簿上計算されているので、期首棚卸高に仕入高を加え、期末棚卸高を差し引くことで正確な売上原価を計算することができます。棚卸しでは、実際に確認した商品等の数量に仕入単価を掛けて期末棚卸高を計算します。期末棚卸高に引取運賃などの付随費用を加えることを忘れてしまいがちなので注意が必要です。

 期末棚卸高の算定に誤りがあると、当期利益額の増減に直結します。棚卸資産は自社内にあることから、恣意的な操作が加えられやすいと考えられ、税務調査においても確認の対象となりやすいので注意しましょう。


税務:「110万円の現金贈与」をした/された人が知っておきたい贈与のおはなし 

 「将来のことを考えて、今のうちから子や孫に財産を残してあげたい……」とお考えの方も多いのではないでしょうか。「年110万円までは贈与税がかからず、申告も不要」とはよく知られていますが、贈与にまつわる2つの制度を知っておくと、選択の幅がより広がります。

〇暦年課税制度

 1年間(1月1日から12月31日まで)の贈与金額に比例して累進税率(10~55%)が適用される制度です。贈与する人(贈与者)・贈与される人(受贈者)について、特段の要件等もありません。相続発生時には、相続開始前7年以内に贈与により取得した財産(基礎控除の範囲内を含め、相続開始前4~7年以内の贈与財産については100万円を控除)は相続財産に加算(持ち戻し)しなければなりません。

〇相続時精算課税制度

 原則として、①贈与者が60歳以上②受贈者が18歳以上の子・孫等の場合に利用できる制度です。基礎控除額(毎年110万円)・特別控除額(2,500万円)を超えた額に、一律20%の税率で計算した贈与税がかかります。将来相続が発生した場合、相続時精算課税制度を適用した年分以降に贈与された財産を相続財産に加算するとともに、相続税額からすでに支払った贈与税額を差し引く(精算する)仕組みです。同制度を利用した場合には、基礎控除内の贈与財産額は将来の「持ち戻し」の対象にはなりません。

 どちらを利用したら良いかは慎重な検討が必要です。当事務所へご相談ください。


以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には

「山口雅文税理士事務所 事務所通信」を送らせていただきます。



2026年1月号

トピック:2026年は制度改正が目白押し!

2026年は制度改正等により、企業や家計(国民)に新たな負担が課される年になりそうです。

(1)4月からどうなる?

 ○「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる(医療保険料とあわせて徴収)

 ○在職老齢年金制度の見直し(在職老齢年金の支給停止基準額が「51万円」→「62万円」に)

 ○防衛特別法人税の創設(4月1日以後に開始する事業年度から申告・納付が必要)

 ○住所等変更登記の義務化(不動産の所有者に対して、住所等の変更日から2年以内の変更登記が義務付け)

(2)10月からどうなる?

 ○消費税仕入税額控除の控除割合が引き下げられる(経過措置が一部変更:免税事業者等からの課税仕入税額相当額の割合が「80%」→「50%」に)

 ○ビール・発泡酒・新ジャンルのビール系飲料の酒税が「54.25円」に統一

 ○カスハラ・就活セクハラ対策の義務化(2026年中)


経営:「決算報告会」で振り返りと戦略のアップデートを(実践編4)

決算を迎えたら会計事務所が行う「決算報告会」で、前期の振り返りと戦略をアップデートしましょう。決算報告会では、次のようなことを行います。

 〇1年の振り返り:売上や利益、費用の増減に変化があった事項や出来事に着目すると、どんな1年だったかを、大まかに振り返ることができます。

 〇当期確定決算の報告・納税額の確認:前期比・計画比の数字を基に当期確定決算の数字を確認します。いわば、社長の「1年間の成績」です。

 〇戦略のアップデート:「1年間の成績」を踏まえ、今期の戦略を検討します。継続すべき点/改善すべき点を洗い出し、今期の戦略をアップデートしましょう。

 決算報告会は、社長の考えをアピールできる良い機会でもあります。可能であれば金融機関の方にも同席いただくと良いでしょう。


税務:令和7年分 所得税の確定申告 事前準備チェックリスト

令和8年2月16日(月)〜3月16日(月)は、令和7年分所得税の確定申告期間です。特に個人事業者、不動産賃貸業者の方は、所得計算や控除に必要な書類や資料を、余裕をもって準備しましょう。

 一定以上の所得があった個人事業者等は、確定申告をする必要があります。「所得」とは、収入から必要経費を差し引いたものです。また、事業所得以外の収入についても令和7年中に受け取ったものについては、申告が必要な場合もあります。また申告によって所得控除等が受けられる場合もあります。

 「確定申告が必要かどうかの確認チェックリスト」を参考にして、確定申告が必要な収入があるかどうかをあらためて確認しましょう。また、「所得税の確定申告に必要な主な書類等のチェックリスト」等を基に、確定申告時に必要な資料も早めに準備しておきましょう。

 ご不明な点がありましたら、当事務所にご相談ください。


以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には

「山口雅文税理士事務所 事務所通信」を送らせていただきます。



2025年12月号

税務:「去年と同じ」はNG 最終確認! 令和7年分年末調整のポイント

「年収の壁」の見直しで、所得税の還付を受ける人が増えるとされている今年の年末調整。従業員本人はもちろん、その配偶者や扶養親族の年収・年齢など、確認すべき点は例年より増えているため、「去年と同じ」ではNGです。

 従業員に、年末調整に必要な各種申告書の入力方法(書き方)を説明する際に正しく伝えられるように、混同しやすい「年収(年間給与収入)」と「給与所得」の違いをまずは確認しておきましょう。

 ○年収(年間給与収入)…1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われる総支給額のこと。税金や社会保険料等が引かれる前の金額を指す。

 ○給与所得…年収(年間給与収入)から給与所得者の「必要経費」とされる「給与所得控除」を差し引いたもの。その年の収入が給与所得のみの場合、給与所得=合計所得金額となる。

 従業員から提出を受けた基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書をチェックする際、令和7年度税制改正により給与所得控除額と基礎控除額が見直されていることに留意が必要です。



会計・税務:社長がおさえておきたい 「減価償却」のきほん

減価償却とは、時間の経過や使用などによって価値が減少していく固定資産(=減価償却資産)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用可能期間(耐用年数)に応じて、分割してその年分の経費として計上する会計上のルールの1つです。「費用収益対応の原則」に基づくもので、正しい期間損益を計算するために行われます。また、減価償却費は税法で規定された耐用年数に応じた期間にわたって、定額法や定率法に基づいて計上することが一般的で、損金(必要経費)として認められます。

 なお、少額な減価償却資産の場合は、税務上、一時の損金算入が認められています。

 ○使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のもの

  →「消耗品費」等として、購入したその期に一括で費用計上できる。

 ○取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産(一括償却資産)

  →「一括償却資産」として3年均等償却できる。

 また、中小企業(青色申告法人・個人)の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産を年間合計300万円まで、全額その期に費用計上することができます(中小企業の特例)。



会計:会計ミステリー!? 利益は出ているのに、どうして資金がない?

今期は売上も順調に伸び、利益も前年より増えているにもかかわらず、決算書を見ると資金(現金預金残高)は減少している。まるで、帳簿の中で資金が消えてしまったかのような「不可解なミステリー」です。

 利益と資金は、まったく異なるルールと流れの中で動いています。例えば掛取引の場合、売上が立った時点で帳簿には収益が計上されますが、実際に資金が増えるのは売掛金が回収された後です。同様に、仕入が計上されても、買掛金の支払いが済むまでは資金は減りません。会計上の収益・費用と、実際の入出金のタイミングのズレこそが、利益と資金が一致しない理由なのです。発生主義など会計の仕組みへのあいまいな理解から生まれた「利益=資金」という誤解や、帳簿上の利益がそのまま現金預金として存在するはず──との思い込みこそが、「利益はあるのに、どうして資金がない?」事件の真相です。

 利益を上げることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。資金の流れを読み解き、資金繰りの改善に取り組むことが健全な経営の第一歩です。



以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には

「山口雅文税理士事務所 事務所通信」を送らせていただきます。